東京地方裁判所 昭和42年(ワ)10465号 判決
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〔判決理由〕土地の賃料は、賃貸人が賃借人に土地を使用収益させる対価として支払われるものであるから、相当な賃料とは、土地所有者の投下資本に利子率を乗じたものでなければならない。すなわち、元本たる投下資本になる底地価格に利子率を乗じ、これに固定資産税などの土地公租公課と管理費を加えたものが相当地代である。
1 土地の更地価格
鑑定人松尾皐太郎および同平沼薫治の各鑑定の結果によれば、同日当時の本件土地の更地価格は、3.3平方メートル当たり少くとも金一二〇、〇〇〇円である。
2 建付地価格
土地は空地の場合最高の価格を有するが、地上建物がある場合には、土地の利用が建物の存在により制約されるから、価格が低落する。価格低落の程度は、地上建物の面積構造、種類などによつて差を生ずるが、一般に鉄筋コンクリート造など堅固の建物の場合は、低落率が大であり、木造建物の場合は、低落率が小である。松尾および平沼各鑑定の結果ならびに被告本人尋間の結果によれば、被告は、本件土地上に木造瓦トタン交葺平家建住家一棟床面積一二九二五平方メートルを所有し、これを居住用にしていることが認められる。ところで、成立に争いない乙第一および第五号証によれば、東京都内において、地上に木造住家が存在すれば、その建付地価格を更地価格の三パーセントないし五パーセント減とするのが相当であると認められるから、本件の場合は、更地価格の四パーセント減の価格を建付地価格として相当と認める。そうすると、本件土地の同日現在の建付地格は、3.3平方メートル当たり金一一五、二〇〇円となる。
3 底地価格
前記乙第五号証、平沼および松尾各鑑定によれば、東京都内において成熟しつつある慣行的借地権割合を中心として、本件対象不動産の個別性すなわち立地条件、地価、所在建物の態様などを考慮すれば、本件土地の借地権価格は前記建付地価格の七〇パーセントとするのが相当であると認められる。そうすると、本件土地の同日現在の底地価格は3.3平方メートル当たり金一一五、二〇〇円の三〇パーセントである金三四、五六〇円となる。
4 年利回
以上のような底地価格の算出方法を肯定するならば、元本たる底地価格に乗ぜられる利子率は、投機性の強い市場利率か、少くとも商事法定利率でなければ、理論的には一貫しないものと思われる。しかし、最近における東京都内における土地価格の昂騰は著しいものがあり、これに比して一般地代の値上りは少なく、したがつて従前から借地継続している場合の利回は、年々低下して行く傾向にあることが認められるし、利子率のの決定には、土地の投機を抑制すべしという社会的要請をも考慮しなければならない。これらのことと平沼および松尾鑑定によれば、本件底地価格に乗ずべき利子率は年一分五厘をもつて相当と認める。そうすると、本件土地賃貸において同日以降一ヵ年に得られる相当利潤は、3.3平方メートル当たり、底地価格金三四、五六〇円の一分五厘である金五一八円四〇銭となる。
5 年支出
平沼鑑定によれば、昭和四二年度の本件土地に課せられた公租公課は、3.3平方メートル当たり金一二四円八七銭であり、また相当な管理費は、底地価格の二毛と認められるから、同日現在の管理費は3.3平方メートル当たり金三四、五六〇円の二毛である金一七円二八銭となる。そうすると年支出の合計は金一四二円一五銭となる。
6 相当地代
以上算出したところによれば、昭和四二年九月一日を基準とする本件土地の3.3平方メール当たり、年利回は金五一八円四〇銭であり、年支出は金一四二円一五銭であるから、この合計額金六六〇円五五銭が一か年の相当賃料となる。したがつて、一か月3.3平方メートル当たり相当賃料は、金五五円となり、本件土地全体の一か月相当賃料は金五、二三八円となる。(岩村弘雄)